電話として普及を始めた携帯電話は、今ではケータイと呼ばれ、メールやカメラにはじまる諸々の役割を担い、誰もが持っていて当然の日用品になりました。ケータイとカーナビの普及と生活への浸透は、21世紀の技術と社会の関係を示す重要な特徴を持っています。
本シンポジウムは技術を提供する側と受け手の交わる場であり、学界、 産業界、そして利用者が本音を語る場であり、また内外に開かれた交流の場であり、人と技術の調和を科学する場です。
シンポジウム「モバイル’11」
「安心なモバイル社会づくりへ」
モバイル端末の高機能化と利便性の追求がなされるなか、利用におけるトラブルは常に問題となっており、プラットフォームのオープン化やシステムの複雑化が新たなトラブルを招くことも懸念されています。対策として、技術的な解決を図るハードアプローチに加え、ユーザに対する情報モラル教育などのソフトアプローチが社会的要請により進められています。
老若男女が恩恵を受けられるモバイル社会の実現には、ユーザによる安心感が重要なポイントになると考えられます。単にトラブルを回避するだけではなく、ユーザに安心を得させるため、各アプローチの可能性や進むべき方向などについて議論を深めることを狙いとしました。
日時:2011年3月10日(木)~11日(金)
会場:筑波大学 総合研究棟B
主催:特定非営利活動法人モバイル学会
共催:国立大学法人筑波大学
協賛:関連48学協会 リストはこちら
シンポジウム大会長 古川 宏 (筑波大学大学院)
特定非営利活動法人モバイル学会長 赤松 幹之 (独立行政法人 産業技術総合研究所)
会場へのアクセス
筑波大学 総合研究棟B
〒305-8573 茨城県つくば市天王台1-1-1
地図はこちら(J6内) 交通アクセスはこちら
特別公開講演
テーマである”安心なモバイル社会づくり”についての議論へと繋がるよう,各分野を代表する3名の方に,異なる観点からご講演をいただきます.参加費は無料ですので,学界・産業界の方はもちろんのこと,一般の方にもぜひご聴講いただきたいと存じます.
- 日時:2011年3月10日(木) 13:00~16:10
- 会場:筑波大学第3エリアA棟2階204
- 参加費:無料
【講演1】ハードアプローチの視点:
「BlackBerry スマートフォンが実現する利便性とセキュリティの両立について」
春名 孝昭(リサーチ・イン・モーション・ジャパン株式会社)
海外では圧倒的なシェアを誇るBlackBerry スマートフォンを、ハードウェアの観点からもセキュリティについてご紹介します。一般の企業や教育機関だけではなく、金融機関、政府機関、軍機関などでなぜ採用されているのかを、BlackBerry スマートフォンのハードウェアやサーバーソフトウェアなどのインフラ面からも解説します。
ハードウェアの観点からは、なぜ安全なのか、なぜウィルスが作成できないのか、マルウェアを防ぐ数々の仕組みをご紹介します。また、インフラを含めた組織内のネットワークやデータの保護の仕組みについても言及し、実際の組織での運用例もご紹介します。
【講演2】ソフトアプローチの視点:
「ユーザーの学習・教育やリスク認知の改善の観点から」
長谷川 元洋(金城学院大学 准教授)
インターネットは増幅装置であり,モバイル情報端末はその増幅装置の利便性を大きく向上させている一方で,同時にマイナス面を増幅させてしまうことにも作用している。その影響力の大きさから,近年,子どもに携帯電話を持たせることの是非が教育現場のみならず社会全体で議論されるようになった。
子どもはいずれ携帯電話を使用するようになることを考えれば,携帯電話の所持の禁止によって問題の発生を防ごうとする方策は,その方策をとっている期間中に,情報機器を正しく安全に使用できるよう教育・指導しないのであれば,問題を先送りにしているにすぎないと言える。さらに,ゲーム機等がインターネットに接続できるようになっている状況を考えれば,子どもはすでにインターネット端末を所有している状態となっていることを前提にした対処が必要であるとも言える。フィルタリングシステムの利用などのシステム的な対処は一定の効果はあるものの万能ではない。
主体的に危険を回避できるとともに,情報空間を公共の場であると認識した言動がで